学会・研究公開: 2026-06-19(更新: 2026-07-02)
腸内細菌が白内障に関係?——「腸と眼のつながり」に迫る最新研究
2026年5月、国際科学誌Scientific Reportsに、加齢性白内障患者の腸内細菌叢(腸内フローラ)と代謝産物の変化を調査した研究が掲載されました。 腸内環境が全身の慢性炎症や酸化ストレスを通じて水晶体に影響を与える可能性を示す探索的研究として、 「腸と眼のつながり(gut-eye axis)」という新たな研究領域の知見として注目されています。
発表の要点
- 1
白内障患者では腸内細菌の多様性が低下
加齢性白内障の患者群と健常者群の便サンプルを比較したところ、患者群では腸内細菌の種類の豊かさ(多様性)が低下しており、特定の菌種の増減パターンが認められた。腸内細菌の多様性低下は全身の慢性炎症と関連することが知られている。 - 2
短鎖脂肪酸など有益な代謝産物が減少
腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸など)が白内障患者群で低下していた。短鎖脂肪酸は抗炎症・抗酸化の作用を持つことが知られており、その減少が全身の酸化ストレス増大につながる可能性がある。 - 3
あくまで観察研究——因果関係の証明はこれから
本研究は腸内環境と白内障の「関連」を示す探索的研究であり、腸内環境が白内障の「原因」であることを証明するものではない。今後、より大規模なコホート研究や介入試験による検証が必要。
背景・コンテキスト
近年、腸内細菌叢が眼の疾患に影響を与えるという「gut-eye axis(腸眼相関)」の概念が注目されています。 緑内障や加齢黄斑変性などでも腸内環境との関連を示す研究が報告されており、 白内障についても同様の仮説が検討されるようになってきました。
腸内細菌が産生する物質が血流を通じて全身に作用し、 水晶体のタンパク質酸化や慢性低炎症に影響する可能性は 理論的には説明できますが、直接的な証拠の蓄積はまだこれからの段階です。
患者にとっての意味
現時点では「腸内環境を改善すれば白内障が予防できる」とは言えませんが、 食物繊維・発酵食品・多様な食材をバランスよくとる食生活は 腸内細菌の多様性維持に貢献することが知られており、全身の炎症を抑える生活習慣は白内障を含む眼の健康にとっても有益と考えられます。白内障の予防については予防・生活習慣のページもご参照ください。
この記事の読み方
本記事は、公表された研究や総説の内容を編集部が要約したものです。研究の報告は、そのまま現在の診療の標準を示すものではありません。実際の治療方針は、検査結果や目の状態、生活のしかたによって一人ひとり異なります。気になる内容があれば、記事を持参して主治医にご相談ください。
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