学会・研究公開: 2026-09-21
糖尿病があると白内障リスクが5倍に――発症の仕組みと手術前に知っておきたいこと
糖尿病と白内障には密接な関係があります。 糖尿病患者における白内障の罹患率は一般の人と比べて約5倍高く、 患者の約60%が何らかの白内障を合併するとも報告されています。 高血糖が引き起こす水晶体の変化と、手術を検討する際に知っておきたい注意点を整理しました。
発表の要点
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糖尿病があると白内障リスクが約5倍に上昇する
慢性的な高血糖状態が続くと、水晶体内にソルビトールが蓄積して浸透圧が変化するほか、酸化ストレスが増大して水晶体タンパク質が変性します。この変化が透明であるはずの水晶体を白く濁らせ、一般の人より若い年齢から白内障が発症・進行しやすくなります。 - 2
若年発症・急速進行に注意が必要
糖尿病による白内障は50〜60代での発症も珍しくなく、進行が比較的速い傾向があります。視力低下を自覚したら早めに眼科を受診し、白内障なのか糖尿病網膜症などほかの合併症による視力低下なのかを確認することが重要です。 - 3
術後感染リスクが通常より高い可能性がある
糖尿病患者では免疫機能が低下しやすく、白内障手術後の眼内炎(感染症)のリスクが高まる可能性が指摘されています。手術前に血糖コントロールの状態を内科医と眼科医が連携して確認することが、安全な手術につながります。 - 4
多焦点IOLの適応に制限がある場合も
糖尿病網膜症を合併している場合、多焦点眼内レンズ(IOL)は光のコントラストが低下するため視機能が落ちる恐れがあり、推奨されないことがあります。網膜の状態を事前に精密検査で確認し、担当医と適切なレンズを相談することが大切です。
背景・コンテキスト
白内障は加齢とともに多くの方が経験する目の病気ですが、糖尿病はその発症を大きく早め、進行を速める代表的なリスク要因です。 水晶体は本来、血管がなく栄養を房水から受け取っていますが、 高血糖状態ではこの環境が乱れ、水晶体タンパク質の糖化や酸化が進みます。
また、糖尿病患者では白内障だけでなく、糖尿病網膜症・緑内障・ドライアイなどの眼合併症も起こりやすいため、 白内障の手術適応を判断する際は眼全体の状態を総合的に評価する必要があります。 手術後も、定期的な眼科受診と血糖管理の継続が視力を維持するうえで重要です。
患者にとっての意味
糖尿病をお持ちの方が白内障手術を検討する際は、内科(糖尿病内科)と眼科の両方に相談し、血糖コントロールの状態を確認してから手術の時期を決めることが勧められます。 多焦点IOLを希望する場合は、網膜の状態次第で適応外になることがあるため、 術前検査の結果をもとに担当医と十分に話し合ってください。 視力低下を感じたら放置せず、早めの受診が大切です。
この記事の読み方
本記事は、公表された研究や総説の内容を編集部が要約したものです。研究の報告は、そのまま現在の診療の標準を示すものではありません。実際の治療方針は、検査結果や目の状態、生活のしかたによって一人ひとり異なります。気になる内容があれば、記事を持参して主治医にご相談ください。
出典
- 糖尿病があると白内障になりやすい?進行しやすい理由と注意点|梅の木眼科クリニック(2026年3月)(2026-09-21 取得)