白内障ナビ
新眼内レンズ公開: 2026-09-14

三焦点IOLとEDOF IOLを左右に入れる「ミックス&マッチ」――最新研究で見えてきたメリットとリスク

白内障手術で左右の眼に異なる眼内レンズ(IOL)を挿入する「ミックス&マッチ」という方法が注目されています。 2026年に発表された単施設後ろ向き研究(27例54眼)では、三焦点IOLのPanOptixと非回折型EDOF IOLのVivityを 左右別々に入れた患者の視機能と満足度を評価。遠・中・近すべての距離でバランスのよい見え方が得られ、 光視症(ハロー・グレア)は三焦点IOLを両眼に入れた場合より少ない傾向が示されました。

発表の要点

  1. 1

    遠・中・近すべての距離で良好な視力

    三焦点IOLを利き目側に、EDOF IOLを非利き目側に挿入することで、遠方から手元まで幅広い距離に対応。単焦点IOLの両眼挿入では難しい遠近バランスを、保険診療外の工夫として実現する手法です。
  2. 2

    ハローやグレアが三焦点単独より少ない

    三焦点IOLを両眼に入れた場合と比べ、ミックス&マッチでは夜間の光のにじみ(ハロー)や光の散乱(グレア)を訴える患者が少ない傾向がありました。EDOF IOLの光学設計の違いが影響していると考えられます。
  3. 3

    患者満足度は高水準

    術後アンケートでは、日常生活の見え方や眼鏡依存度について患者満足度が高い結果でした。ただし対象は27例と少なく、今後の大規模研究で検証が必要です。
  4. 4

    すべての患者に適するわけではない

    左右で異なるレンズを使うため、術前に十分なシミュレーションとカウンセリングが必要です。眼の状態や生活スタイルによっては別の選択肢が適している場合もあり、担当医との相談が重要です。

背景・コンテキスト

白内障手術では、水晶体の代わりに挿入する眼内レンズ(IOL)の種類が視機能に大きく影響します。 単焦点IOLはピントが1か所に合いますが、多焦点IOLは遠方・中間・近方の複数距離にピントを合わせる設計です。 三焦点IOLはその代表例で、遠中近を広くカバーできる一方、夜間に光のにじみが生じやすいという側面もあります。

一方、EDOF(Extended Depth of Focus)IOLは焦点深度を拡張することで中間距離を得意とし、 光視症が比較的少ないとされています。これら2種類を左右に分けて挿入する「ミックス&マッチ」は、 両者の長所を組み合わせる発想で、欧米を中心に研究が進んでいます。 今回の研究はその臨床的な効果と患者満足度を実際のデータで示した報告として注目されています。

患者にとっての意味

これから白内障手術を検討する方は、両眼に同じレンズを入れる方法だけでなく、左右で異なるレンズを組み合わせる選択肢も存在することを知っておくと、主治医との相談の幅が広がります。 ミックス&マッチは選定療養(自己負担あり)の対象となるため費用の確認も必要です。 どの方法が自分の生活スタイルや眼の状態に合っているかは個人差が大きく、 術前検査と十分なカウンセリングのうえで判断することが大切です。

出典

関連記事