学会・研究公開: 2026-06-21(更新: 2026-06-30)
レーシック後の白内障手術、度数ずれを減らす新計算式——中国チームが臨床検証
2026年6月、眼科専門誌American Journal of Ophthalmologyに、過去にレーシック(LASIK)などの近視矯正手術を受けた患者が白内障手術を受ける際の IOL度数計算精度を向上させる新計算式の開発・検証結果が掲載されました。 中国の研究チームによるもので、従来式と比較して術後屈折誤差が小さくなることが示されました。
発表の要点
- 1
レーシック後の白内障手術でIOL度数がずれやすい理由
レーシックは角膜を削って形を変えることで近視を矯正する手術。この結果、角膜の曲率(カーブ)が変化しており、白内障手術時にIOL度数を計算する既存の式では角膜データを正確に解釈できず、術後に「度数のずれ(屈折誤差)」が生じやすい。 - 2
新計算式で術後屈折誤差を有意に低減
新たに開発された計算式は、レーシック後角膜の特性を補正するパラメーターを組み込んでいる。臨床データを用いた検証では、±0.5D以内の予測精度が既存式と比較して有意に向上した。 - 3
レーシック経験者の白内障手術では術前データ提示が重要
背景・コンテキスト
1990年代後半から2000年代にかけてレーシックを受けた世代が、 現在40〜60代に達し、加齢性白内障の手術適応を迎えつつあります。 このため「レーシック後の白内障手術」の件数は今後増加することが予想されており、 度数計算の精度向上は臨床的に重要な課題です。
現在も複数の補正式(Haigis-L式、Barrett True-K式など)が用いられていますが、 それでも通常眼と比べて屈折誤差が大きくなることが課題でした。 新計算式がさらなる改善をもたらす可能性があります。
患者にとっての意味
かつてレーシックなどの近視矯正手術を受けた方が白内障手術を検討する際は、レーシックを受けた施設から術前の角膜データ(術前角膜曲率・術後角膜曲率・矯正量)を取り寄せておくことをお勧めします。 このデータがあると、白内障手術時のIOL度数計算がより精度よく行えます。 データがない場合でも補正式を使った計算は可能ですが、精度の面でデータありの場合に劣ることがあります。 担当医に事前に相談しましょう。
この記事の読み方
本記事は、公表された研究や総説の内容を編集部が要約したものです。研究の報告は、そのまま現在の診療の標準を示すものではありません。実際の治療方針は、検査結果や目の状態、生活のしかたによって一人ひとり異なります。気になる内容があれば、記事を持参して主治医にご相談ください。
同じテーマの記事
「眼内レンズの度数計算」に関する記事をまとめています。
眼内レンズ一覧・比較表をはじめから読む