新眼内レンズ公開: 2026-08-12
円錐角膜のある方の白内障手術——IOL度数計算はどの式が正確か、メタ解析が比較
角膜が円錐状に薄く突き出す「円錐角膜」があると、 角膜のカーブが通常とは大きく異なるため、 白内障手術で入れる眼内レンズ(IOL)の度数計算が難しくなります。 医学誌 Clinical Ophthalmology に、 円錐角膜のある患者を対象に各計算式の予測精度を比較した システマティックレビューとネットワークメタ解析が掲載されました。
発表の要点
- 1
7研究・530眼を統合して計算式をランキング
MEDLINE・Embase・Cochrane を検索して条件を満たした7研究(530眼)を対象に、ベイズ流ネットワークメタ解析という手法で計算式の順位づけを行いました。比較されたのは Barrett True-K(実測値版・予測値版)、Kane Keratoconus、Barrett Universal II、SRK/T、Holladay 1・2、Haigis、Higgins、Hoffer Q です。円錐角膜の重症度は Amsler-Krumeich 分類で層別化されました。 - 2
円錐角膜に対応した式が上位
全体として Barrett True-K(実測値版)と Kane Keratoconus が最も予測精度が高く、目標度数から±0.50D および±1.00D 以内に収まった眼の割合も高い結果でした。軽度の円錐角膜では Barrett True-K(予測値版)が良好で、中等度では SRK/T が比較的良い成績を示しました。 - 3
従来式は進行例で精度が落ちる
正常な角膜を前提に設計された従来式のうち、特に Hoffer Q と Holladay の各式は予測精度が低く、円錐角膜が進行した例でその差が大きくなりました。著者らは円錐角膜に対応した計算式を優先して使うべきだと結論づけています。 - 4
解釈には注意が必要
著者ら自身が、対象となったデータが限られており研究間のばらつきも大きいため、順位づけは探索的なものとして慎重に解釈すべきだと述べています。今後はより大規模で、測定方法(生体計測)を統一した研究が必要とされています。
背景・コンテキスト
白内障手術では、取り除いた水晶体の代わりに入れる眼内レンズの度数を、 手術前に眼の長さや角膜のカーブを測って計算します。 この計算に使われるのが「IOL度数計算式」で、 多くは正常な形の角膜を前提に作られています。
円錐角膜では角膜が不規則に変形しているため、 従来式では計算結果が実際とずれやすく、 手術後に近視や遠視、乱視が残ることがあります。 そこで円錐角膜専用に調整された計算式が開発されており、 今回の解析はそれらが実際に有利かどうかを既存研究の統合で検証したものです。
患者にとっての意味
円錐角膜がある方の白内障手術では、どの計算式を使うかで術後の見え方が変わりうることが、この解析からうかがえます。 計算式の選択は術前検査の結果をもとに執刀医が判断する部分ですが、 円錐角膜と診断されている方や、角膜の形が不規則と言われたことがある方は、 手術を検討する段階で「円錐角膜に対応した度数計算を行っているか」 「術後にどの程度の度数ずれが想定されるか」を確認しておくと、 仕上がりの見え方について認識を合わせやすくなります。