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学会・研究公開: 2026-08-12

抗VEGF注射を長く受けた眼で白内障手術が増える——603例を約6年追跡した研究

加齢マクロパチー(加齢性の網膜の病気)や糖尿病網膜症の治療で使われる 「抗VEGF薬の硝子体内注射」を長期間続けた眼で、 白内障が進んで手術に至る割合が高くなることを示した研究が、 医学誌 Ophthalmology に掲載されました。 同じ人の「注射した眼」と「注射していない反対の眼」を比べる設計をとった点が特徴です。

発表の要点

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    同じ人の左右の眼を比べる設計

    対象は、研究開始時点で両眼ともに水晶体が残っている(まだ白内障手術を受けていない)患者のうち、片眼だけに抗VEGF注射を12回以上受けた603例です。年齢や体質といった個人差の影響を受けにくい形で、注射の影響を評価できるようにしています。追跡期間の中央値は74か月(約6年)でした。
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    10年累積で40.7%対7.2%

    白内障手術を受けた割合は、10年累積で注射した眼が40.7%(95%信頼区間35.9〜45.1%)、反対眼が7.2%(同4.1〜10.3%)でした。統計解析では、注射した眼であることのハザード比が8.174(同5.767〜11.586)、加齢もリスク要因(ハザード比1.069)として挙げられています。
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    後嚢下白内障で差が最も大きい

    手術時点での水晶体の濁り方を種類別に見ると、核・皮質・後嚢下のいずれも注射した眼で有意に強く(いずれもP<0.001)、なかでも水晶体の裏側が濁る「後嚢下白内障」で差が最も大きかったと報告されています。
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    観察研究であり因果関係の断定はできない

    この研究は診療記録をさかのぼって解析した後ろ向きの研究です。注射そのものの影響と、注射が必要になるほど網膜の状態が重かったことの影響を完全に切り分けることは難しく、著者らも「関連が認められた」という表現にとどめています。

背景・コンテキスト

抗VEGF薬は、網膜に異常な血管が生えたり水がたまったりするのを抑える薬で、 眼の中(硝子体)に細い針で注射して投与します。 加齢マクロパチーや糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などで広く使われ、 効果を維持するために数か月おきに、 人によっては何年も繰り返し受けることがあります。

注射のたびに眼の中に針を入れるため、 水晶体に物理的な影響が及ぶ可能性や、 眼内環境の変化が白内障の進行に関わる可能性が以前から議論されてきました。 今回の研究は、その関連を左右眼の比較という形で長期に追ったものです。

患者にとっての意味

大事な点として、この結果は抗VEGF注射を控えたほうがよいという意味ではありません。抗VEGF注射は網膜の病気による視力低下を抑えるために行われるもので、 中断すれば元の病気が進む可能性があります。 一方で白内障は手術で対応できる病気です。 注射を長く続けている方は、見えにくさが出てきたときに 「網膜の病気によるものか、白内障によるものか」を切り分ける必要があるため、 定期受診の際に視力の変化を具体的に伝えておくと判断の助けになります。

出典

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