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学会・研究公開: 2026-08-12

白内障手術後に「二重に見える」のはどのくらい起こる?88,470眼のメタ解析

白内障手術後にものが二つに見える「両眼性二重視(両眼で見たときに像が二重になる状態)」は、 頻度は低いものの、起きると生活への影響が大きい合併症です。 医学誌 Ophthalmology に、 これまでの研究を統合してその発生率を推定し、 麻酔の方法別に整理したシステマティックレビューとメタ解析が掲載されました。 手術前の説明で使える目安を示すことを目的とした研究です。

発表の要点

  1. 1

    22研究・88,470眼を統合して0.9%

    MEDLINE・EMBASE・Cochrane CENTRAL を検索し、条件を満たした22研究を解析対象としました。そのうち発生率を報告していた21研究(白内障手術88,470件、両眼性二重視408件)を統合した結果、発生率は0.9%(95%信頼区間0.4〜1.9%)と推定されました。
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    麻酔の方法別に分けると差がみられた

    麻酔の投与経路で分けると、点眼麻酔での発生率は0.01%、球後麻酔で0.2%(95%信頼区間0.1〜0.4%)、眼球周囲(球後より浅い層)への麻酔で1.2%(同0.5〜13.0%)でした。両者を直接比較した2研究(手術20,975件)の解析では、点眼麻酔は球後麻酔よりも二重視のオッズが低い結果(オッズ比0.25)でした。
  3. 3

    エビデンスの確実性は「非常に低い」

    著者らは GRADE という手法でエビデンスの確実性を評価し、発生率に関する解析はいずれも「非常に低い」、麻酔方法の比較は「低い」と判定しました。研究間のばらつきが大きく、バイアスのリスクも懸念されるためです。数値は目安として扱う必要があります。
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    術前説明の材料として位置づけられている

    この研究の狙いは、新しい治療法を提案することではなく、医師が患者に「どのくらいの確率で起こりうるか」を伝えられるようにすることです。低頻度の合併症は個々の医療機関の経験だけでは頻度を把握しにくいため、こうした統合解析が説明の裏づけになります。

背景・コンテキスト

白内障手術の麻酔には、目薬で表面を麻痺させる点眼麻酔、 眼球の周囲に注射する方法、眼球の後方に注射する球後麻酔などがあります。 注射による麻酔は効果が確実な一方、 眼を動かす筋肉に薬が影響したり、 まれに筋肉そのものが傷ついたりする可能性が指摘されてきました。 これが手術後の二重視につながりうる経路のひとつと考えられています。

なお、手術後にものが二重に見える原因は麻酔だけではありません。 もともと左右の眼の視力差が大きかった方が、 手術で片眼だけよく見えるようになったことで それまで隠れていた眼の位置のずれが表に出るケースもあります。 原因によって対応は変わるため、症状が続く場合は評価が必要です。

患者にとっての意味

統合された数値からは、白内障手術後に両眼性二重視が起こる頻度はおおむね1%程度と低い水準にとどまることが読み取れます。 一方で、以前から斜視がある方、幼少期に片眼の視力が弱かった方、 左右の度数差が大きい方などは、 手術で見え方のバランスが変わることで症状が出る可能性があります。 こうした既往がある方は、手術前の問診でその点を伝えておくと、 麻酔方法やレンズの度数設定を検討する際の材料になります。 手術後に二重視が続く場合も、経過とともに改善することや、 プリズム入りの眼鏡などで対応できる場合があるため、まずは担当医に相談してください。

出典

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