白内障ナビ
解説公開: 2026-08-12

白内障手術後に視力が再び落ちる「後発白内障」とYAGレーザー治療

白内障手術を受けて視力が回復したあと、数か月から数年たって 「また白っぽくかすんできた」と感じる方がいます。 このとき多くの場合に起きているのは白内障の再発ではなく、後発白内障(こうはつはくないしょう)と呼ばれる別の変化です。 水晶体は一度取り除くと再び濁ることはありませんが、 眼内レンズを支えるために残した薄い膜が濁ることがあります。 外来で受けられるレーザー治療の対象になるため、 仕組みと受診の目安を知っておくと落ち着いて対処できます。

発表の要点

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    白内障が「再発」したわけではない

    白内障手術では、濁った水晶体の中身を取り除き、水晶体を包んでいた袋(水晶体嚢)の後ろ側である後嚢を残して、そこに眼内レンズを固定します。取り除いた水晶体そのものが再び濁ることはありません。後発白内障は、残った水晶体上皮細胞が後嚢の上で増えて膜が濁る現象です。
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    レーザー治療を受ける割合は眼内レンズの種類で差がある

    英国の20,763眼を対象とした実診療データの研究では、手術から5年間にYAGレーザー治療を受けた割合は使用した単焦点眼内レンズの種類によって5.8%から19.3%まで幅がありました。後発白内障そのものが確認された割合は7.1%から22.6%と報告されています。誰にでも必ず起こるものではなく、また起きても全員が治療を必要とするわけではありません。
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    自覚する症状は手術前の白内障と似ている

    かすんで見える、光がにじむ、明暗の差(コントラスト)が分かりにくい、夜間の運転がしにくい、といった症状が中心です。手術前の白内障と感じ方が似ているため、患者さん自身では区別がつきにくく、受診して診断を受ける必要があります。
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    YAGレーザーによる治療は外来で行われる

    点眼麻酔をしたうえで、濁った後嚢の中心部にレーザーを当てて小さな窓を開ける後嚢切開という処置が行われます。入院を必要とせず、処置そのものは数分程度です。健康保険が適用されます。

背景・コンテキスト

白内障手術では、水晶体の前面を丸く切り開いて中身を超音波で吸い出し、 残した袋の中に眼内レンズを入れて固定します。 この袋を丸ごと取り除いてしまうとレンズを支えるものがなくなるため、 後ろ側の薄い膜である後嚢は意図的に残します。手術に伴う正常な手順です。

ところが、袋の内側にはもともと水晶体をつくっていた細胞が わずかに残っています。この細胞が時間をかけて後嚢の上に広がると、 透明だった膜が白く濁ったりしわが寄ったりして、 眼内レンズを通る光をさえぎるようになります。 これが後発白内障です。眼内レンズの縁の形状や素材によって 細胞の広がりやすさが変わるため、 レンズの種類によって発生頻度に差が出ると考えられています。

治療では、濁った膜そのものを取り除くのではなく、 視線が通る中心部分にレーザーで窓を開けて光の通り道を確保します。 膜は残りますが、視軸から外れた位置にあれば見え方への影響は小さくなります。

患者にとっての意味

白内障手術のあとで見えにくさが戻ってきたと感じたら、まずは手術を受けた医療機関か、かかりつけの眼科を受診してください。後発白内障であれば外来での処置が検討できますし、 見えにくさの原因が別にある場合もあるため、 自己判断で様子を見続けるよりも診察を受けたほうが確実です。 なお、後発白内障は進行の速い病気ではなく、 日常生活に支障が出ていなければすぐに治療しないという判断もあり得ます。 処置の時期や必要性は、見え方の困り具合と眼の状態をあわせて主治医と相談して決めることになります。

出典

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