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解説公開: 2026-08-22

単焦点と多焦点、どちらの眼内レンズを選ぶか——生活スタイルから考える判断材料

白内障手術では、濁った水晶体を取り除いたあとに人工の眼内レンズ(IOL)を入れます。このレンズ選びで多くの方が迷うのが、 ピントが1か所に固定される単焦点にするか、 遠くと近くの両方に光を振り分ける多焦点にするかという点です。 どちらが優れているという性質のものではなく、 見え方の特徴と費用の仕組みが異なる別の選択肢です。 自分の生活で何に困りたくないかを整理しておくと、 主治医との相談が進めやすくなります。

発表の要点

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    単焦点はピントの合う距離が1か所に決まる

    遠く・中間・近くのどこか1つに焦点を合わせます。合わせた距離はくっきり見えやすい一方、それ以外の距離では眼鏡を使うことが前提になります。遠くに合わせれば手元の作業に老眼鏡が必要になり、手元に合わせれば遠くを見るときに眼鏡が必要になります。健康保険が適用されます。
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    多焦点は複数の距離に光を振り分ける

    レンズに入った光を遠方と近方(製品によっては中間も)に分ける設計です。眼鏡を使う場面を減らすことを目的としていますが、光を分ける仕組みのため、コントラストがやや低下したり、夜間に光の周りにリングやにじみが見えたりすることがあります。これらは多くの場合時間とともに慣れていくとされますが、感じ方には個人差があります。
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    多焦点レンズの費用は選定療養という仕組みで扱われる

    厚生労働省が認めた多焦点眼内レンズを用いた手術は、2020年4月から選定療養の対象になりました。手術・検査・診察といった医療行為の部分は健康保険が適用され、単焦点レンズとの差額に相当する費用のみを患者が負担する形です。差額の金額は医療機関ごとに設定されているため、受診先で確認する必要があります。
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    眼の状態によっては多焦点が向かない場合がある

    緑内障や網膜の病気がある方、角膜に不規則な乱視がある方などでは、光を分ける設計の利点が生かしにくく、単焦点のほうが適していると判断されることがあります。希望だけで決まるものではなく、術前検査の結果とあわせた医学的な判断が必要です。

背景・コンテキスト

眼内レンズは、目の中でピントを合わせる働きをしていた水晶体の代わりに入れる人工のレンズです。 本来の水晶体は厚みを変えて遠近のピントを調整していましたが、 眼内レンズにはその調整機能がありません。 そのため、どの距離に焦点を置くかを手術前に決めることになります。

費用面の仕組みについては、2020年3月27日付の厚生労働省通知により、 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術が選定療養として位置づけられました。それ以前は先進医療の枠組みで扱われていました。 選定療養は保険診療と保険外の負担を組み合わせられる制度で、 眼鏡への依存を減らせる部分に相当する費用を患者が任意に選んで負担するという考え方に基づいています。

なお、国内で承認されていないレンズを用いる場合や、 医療機関が選定療養の届出をしていない場合は、 手術全体が自費診療になることがあります。 同じ「多焦点レンズを入れる手術」でも費用の扱いが変わるため、 見積もりの内訳を確認しておくことが大切です。

患者にとっての意味

判断材料を整理するときは、「眼鏡をかけたくない場面はどこか」「見え方の質を最優先したい場面はあるか」の2つを分けて考えると比較しやすくなります。 たとえば夜間の運転が生活に欠かせない方は、 光のにじみが起きにくい設計を優先する考え方があります。 一方で読書や手元作業が多く、眼鏡の掛け替えを減らしたい方は、 多焦点を検討する動機が大きくなります。 いずれの場合も、術前検査で眼の状態を確認したうえで、 費用の内訳と見え方の特徴について説明を受け、 納得したうえで決めることをおすすめします。

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